選挙制度改革に絡んで、比例区のみの議員定数削減を維新を中心に主張がされています。
この比例区のみの議員定数削減の問題点とは何か、小選挙区制、比例代表制、かつてあった中選挙区制なども含めて、それぞれの制度がなぜ採用されてきたのか、というところに戻ってメリット・デメリットとともに考察したいと思います。
もくじ
それぞれの選挙制度について
まずは、それぞれの選挙制度について簡単に見ておきたいと思います。
日本の選挙制度は少し複雑ですが、「何を重視する制度なのか」を理解すると整理しやすくなります。
まず、大きく2つの考え方があります
① 人(候補者)を選ぶ制度
「この人を国会に送りたい」
↓
小選挙区制・中選挙区制など
② 政党を選ぶ制度
「この政党に力を与えたい」
↓
比例代表制
この2つは目的が違います。
小選挙区制とは
例えば大阪1区に
- A党
- B党
- C党
の3人が立候補したとします。
投票結果
- A党 45%
- B党 40%
- C党 15%
すると
A党だけが当選
残り55%の票は議席になりません。
つまり
1人しか当選しない制度
です。
メリット
- 勝者が明確
- 政権が安定しやすい
- 与党が決まりやすい
例えば
100議席あれば
55議席取れば単独過半数になります。
デメリット
例えば全国で
A党49%
B党51%
なら
議席は
A党20議席
B党80議席
のようになることがあります。
つまり
得票率と議席数が大きくずれる
という欠点があります。
中選挙区制
昔の日本で採用されていました。
例えば
大阪で
5人当選するとします。
結果
- 〇〇党A
- 〇〇党B
- ▲▲党
- □□党
- ◆◆党
というように
同じ政党から複数人当選
できます。
メリット
少数派も当選しやすい。
多様な意見が国会へ届きます。
デメリット
同じ政党同士が戦います。
例えば
〇〇党A
〇〇党B
が票を奪い合うため
派閥政治や利益誘導が起きやすい
と言われました。
比例代表制
これは全く考え方が違います。
例えば全国で 投票結果が
A党40% B党30% C党20% D党10% だったら
100議席なら
- A党40議席
- B党30議席
- C党20議席
- D党10議席
に近づけます。
つまり
得票率と議席数をできるだけ一致させる制度
です。
メリット
民意が反映されやすい。
例えば
10%支持される政党なら
約10%の議席になります。
デメリット
小さな政党も多くなるため
政権が不安定になりやすい。
連立政権が増えます。
現在の日本の制度はどうなっている?
日本は
小選挙区+比例代表
を組み合わせています。
例えば衆議院なら
小選挙区
↓
289議席
比例代表
↓
176議席
(現在)
つまり
「人も選び」
「政党も選ぶ」
という折衷案です。
なぜ比例代表が必要なのか
例えば
全国で
ある政党が20%支持されていても
小選挙区では毎回2位なら議席ゼロになります。
しかし
20%の国民が支持している以上、
その意見が国会に全く反映されないのは望ましくありません。
比例代表なら
20%程度の議席を得られる可能性があります。
比例区だけ削減すると何が起こる?
ここが重要です。
例えば
現在
小選挙区300
比例200
だったとします。
これを
小選挙区300
比例100
にすると
国会全体が
小選挙区中心になります。
問題① 民意とのズレが大きくなる
例えば
全国得票
A党45%
B党40%
C党15%
でも
小選挙区では
A党が多数の選挙区で僅差勝ちすると、
議席では大幅に優位になることがあります。
比例議席が少なくなると、このズレを補正する力が弱まります。
問題② 少数政党が消えやすい
例えば
全国で10%
支持がある政党でも
小選挙区で勝てなければ
議席が極端に少なくなります。
その結果
国会の意見が
大政党中心になります。
問題③ 死票が増える
死票とは
議席につながらなかった票
です。
例えば
49%
投票されても
負ければゼロ。
比例区が少なくなるほど
この死票が増えます。
問題④ 地域代表だけが強くなる
小選挙区議員は
地域の利益を代表する役割が強くなります。
一方、
比例代表議員は
- 福祉
- 環境
- 障害者政策
- 人権
- 外交
- 全国的な課題
など、全国規模の政策を重視する傾向があります。
比例議席が減ると、こうした視点が弱まる可能性があります。
では比例だけ増やせばよいのか?
実はそう単純でもありません。
比例代表を増やしすぎると、
- 小政党が乱立しやすい
- 連立交渉が複雑になる
- 政権が短命になりやすい
という課題もあります。
そのため各国とも、
「民意をできるだけ反映すること」と「安定した政権運営」のバランスをどう取るかを模索しています。
まとめ
比例区のみを削減すると、議員定数が同じでも「小選挙区制の性格」がより強まり、少数意見が国会に届きにくくなり、得票率と議席数のずれが大きくなる可能性があります。
比例区の削減は「議員数を減らす」という量の問題だけでなく、「どのような民意を国会に反映させるか」という制度設計そのものに関わる問題である、という点を含めて、その問題点を考える必要があると思います。