熊本県出身の絵本画家である葉祥明さん。優しい色使いの風景画が有名です。
ここでは、著書『僕と風との対話』から自分らしく生きたいと願い模索してきた葉祥明さんの言葉をご紹介します。
もくじ
遠まわりしても、なるべき者はそうなることができる
このことは、すべての人に当てはまることだが、人は自分自身をよく知って、人生の道を正しく選ばなくてはいけない。しかし、遠まわりしたとしても、結局そうなるべき者は、そうなることができるのだ。人の人生とは考えれば考えるほど、不思議なものだと思う。
人生では、必ずしも自分の思う場所に一足飛びでいけることは少ない。
偶然その場に行くことができたとしても、居続けることは難しい。
今いる道が遠まわりのように感じたとき、そうなるべき者はそうなるのだとの言葉に心が軽くなったのを覚えています。
才能や資質は、小学校高学年、中学生時代に姿をあらわす
才能や資質は、早ければ小学校高学年、そして中学生時代に姿をあらわす。高校で進路を選ぶのは、実は遅い。なぜなら、その時、すでに周囲も本人も社会の価値観に取り込まれてしまっているか、皆がするようにしてしまう。自分をよく知る特別なもの以外は、普通のコースを選ぶ。
人は誰でも成長過程の中で大人からいろんなことを教えてもらいます。
その中には知らないうちに自分で取り込んでしまっている社会の価値観があり、それに合わせようとする意思が働いていることもあります。
自分自身でも、その価値観が自らのものなのか、周りの環境からのものなのかがわからなくなるほど、自然に入り込んでしまっているものです。
だからこそ、小学校や中学校のころ、自分はどんなことが嬉しくて、好きで得意だったかを思い出してみると自分の才能や資質がわかるかもしれない。そんな気づきを与えてくれた一節です。
一人になるための闘い
振り返れば、僕の人生は子ども時代から今に至るまで、一人になるために闘いだったような気がしてならない。僕は子どもの時から、一人でいることの価値を知り、孤独を楽しんでいた。一人でいて、淋しかった李、退屈したり、嫌になったりしたことがなかった。ものを考えたり、本を読んだり、絵を描いたり‥‥‥。やることはいっぱいあったからだ。むしろそれらは、一人でなくてはできないことばかりだった。
葉祥明 プロフィール
本名:葉山 祥明
生年月日:1946年7月7日
出身地:熊本県熊本市
1991年 創作絵本「風とひょう」でイタリア・ボローニャ国際児童図書展グラフィック賞受賞
18歳まで熊本市で過ごし、東京の大学の経済学部に進学。
大学卒業後は1年間海外へ留学する、という父親の教育方針からニューヨークのアートスクールへ。
帰国後同世代の絵本作家「谷内こうた」氏の作品を偶然目にしたことで、絵本作家になろうと決意。絵本の制作を始めます。
1973年に絵本『ぼくの べんちに しろいとり』で絵本作家としてデビュー。
その後、アンパンマンの作者である「やなせたかし」氏に見出され、“メルヘン作家”として活躍の場を大きく広げます。
美しい情景を描いた風景画が人気。